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天神泉源

いまだ謎に包まれる、鉄分を多く含んだ「金泉」。
夜にはライトアップもしています。

「有馬に来ると、父が元気になる」といとこが言った。正月以来3度目、来月も泊まりに来てくれる。お父さんが末期癌だそうです。
 元気な人には分からないかもしれませんが、元気でない人は、有馬に来ると元気になるのでしょうか。
 狭い有馬の街中にお寺が7軒あります。病院がない時代、有馬の湯の力で病気を治そうと多くの人がやって来ました。でも亡くなる人も多い。だから各宗派の寺が有馬に存在します。昔はもっと多くありました。これほど寺が多い温泉地は他にはないのです。
 では有馬の湯に病気を治す力があるのかどうか。薬効効果のある泉質が10種類定められていますが、有馬の湯は8種類が含まれています。その中には炭酸泉や放射能泉があります。銀泉と呼ぶ湯の成分です。これは湯に漬かるというより気体なので、有馬の街中にいるだけで放射線浴をしていることになります。
 放射線というと恐ろしいものと思う人がいますが、原発などで使われる人工的なものでなく、地球の誕生と共に人類と付き合って来た自然界の放射線のことです。放射能泉の効能としてホルミンシス効果があります。免疫力を高め血行を促進し、身体を活性化するといわれています。
 では、どれぐらいあるのか測定器で温泉街を計りました。まず「金の湯」は0・2●を指しました。東京・銀座の10倍です。次に泉源の円盤状の配当槽は0・35●を指しました。「ならばできるだけ湧き出した湯に近い所を」と計ったら0・75●を示しました。実は有馬温泉は、放射能泉としても日本有数の温泉地なのです。
 有馬の温泉をもっと「見える化」できないかと考えています。例えば泉源の所を1メートルほど掘って放射能泉浴が出来るようにする。測定器もそばに設置して数値を示す。そうすると、いとこはお父さんを連れて行くんじゃないかな。
 炭酸泉は二酸化炭素が含まれている温泉で、血行が促されます。二酸化炭素は空気より重く、風通しの悪いくぼ地には炭酸ガスがたまります。
 こうしたことを知ってもらうのに、井戸のようなものを掘り、炭酸ガス濃度の計測器で数値を見せるとともに、沈めたろうそくの火が消えることで酸素がないこと証明する、そんな見える化ができないかと考えています。